偽恋人の恋愛事情


「昨日までに、なんか佐賀からアプローチかけられたことはある?」

アプローチ…か

んーないわけではなさそうだけど

なにしろ私がそういう感情に疎いため確実とは言えない


「あ、でも…私の家庭事情をやんわり話した時に佐賀くんの家庭のことも少し聞きました」

「…あいつが自分から言ったの?」



「はい」

私だから話したと言っていたけど


「…なるほどね。佐賀って普段結構明るいやつだからあんまり場が暗くなるような自分のことは話すタイプじゃないんだけど…雪音には言ったのか」

はい

「…まあ元から雪音には興味ありそうだったけど…いつのまにかこんなレベルにまでなってたんだな」


そんなに長い時間過ごしたわけでも
何かイベントがあったわけでもないんだけどね


「確証のある火種は思いつきません」

「…あいつは綺麗なものが好きだから、雪音への興味の始まりはおそらく外見だと思う…
でもきっと関わっていくうちに、雪音のいろんなところに美を感じるようになったんだろうな」

「私はそんなに綺麗な人間ではありませんけどね」


クソにはクソとか言っちゃうタイプだけど

父親と兄に水かけるような女だけど


「雪音は綺麗だよ」



「強く生きてる姿がとってもね」

……


「ありがとう…ございます」

< 154 / 296 >

この作品をシェア

pagetop