偽恋人の恋愛事情



「問題はこれからだな」

…確かに

「昨日の感じだと多分諦める気はなさそうなんだよ」


あ!
そうだ!

「昨日!どうだったんですか!私が部屋に行った後!」

聞きそびれていた


どうやって追い返したんだろう

気になる


「……そ、れは…」

楓くんが手を止めて目を泳がせる


「……まあ、なんとかって感じ」

え?


「どういうことですか?」

「…っし、知らなくていいよ」

「知りたいですよ!というか、私が楓くんに放り投げてしまったので…」

申し訳ないし


しかし楓くんは気まずそうに視線を逸らし、口をもごもごさせる

「…色々あって、まあ最終的には拳で」

こ、拳で…


というか私が知りたいのはその色々あってというところなのだが


「とにかく!一時的に退散させただけ!詳しいことは忘れた!」

なっ!


「嘘つけ!」

「いつか話すから!」

えぇ…


か、頑なだ

こいつ、何がなんでも言わないつもりだ


ぶーと頬を膨らませる私を見てツンと顔を背ける

なんなのよもう!

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