偽恋人の恋愛事情
雪音side
「忘れた頃に来たね」
「…はい」
夏休みも順調に進み、半ばとなった今日この頃
私たちは偽恋人2ヶ月半に突入した
私は夏休みといっても今までも家にこもってひたすら勉強をしていただけだったので
対してそれとは変わらない生活を送っていた
ただ同居人が偽彼氏だというのは前代未聞だが
思ったより悩むこともなかった
私たちはお互いの時間を尊重しあっているので
ご飯を食べる時と、お風呂上がり、それから数日に一回くらいは一緒にいることがあるけど
基本的に私は部屋で勉強をしているし、楓くんも部屋にいる
だから変に気を使うことも少なく、すごく伸び伸びと休日を過ごしていた
やっぱり楓くんの隣は心地よくて、彼の顔をたくさん見ることができるこの家は
私にとってはまるでユートピアだった
彼がどうかは、知らないけど
と、そんな平和な日々に矢が刺さったのは今朝のこと
あまり鳴らない私の携帯が鳴いたのだ