偽恋人の恋愛事情
「……返しますか」
ここはひとつ
勇気を振り絞って
それに思い返してみれば
あんなクソみたいな奴らから逃げ続けるなんてダサすぎる
「頑張れ」
スッと、隣に座ってくれる
…楓くんのこういうところが本当に…
っ…
さ、さあ返信するぞ
とは言っても
「なんて送りましょう」
「夏休みを満喫してますとか?」
楓くんが言う
「美味しいご飯食べてますとか?」
私が言う
「おにーさんには関係ありませんとか」
「黙って父親のロボットやってろとか」
「一発殴らせてくださいとか」
「髪の毛むしり取らせてくださいとか」
「やっぱ俺と恋人ライフ満喫してますとか」
「非リアの兄さんにはわからないでしょうとか」
……ふっ
「あっははは!」
「ふふふっ」
何これバカみたい
全然真面目に考えてないじゃん!私たち!
なんか、前みたいに悩むことがなくなった
兄さんや父さんの言動にビクビクすることがなくなった
「あーおかしい、ダメですよこんなの!」
「雪音だって乗ってきたろ」
まあそれはそうだけどね