偽恋人の恋愛事情
で、、
『夏休みを満喫してます』
楓くんが最初に提案したのを採用した
打つだけ打って、送信ボタンを押さずにじっと携帯を見る
「…送れる?」
「ええ、問題なく」
隣の楓くんが心配そうに私を見た
でも本当に問題などない
なにも、怖くない
画面をタップするとスッと音が鳴ってその文章が送られる
「うわ既読早っ…」
きも
送って3秒くらいで既読がついた
慌ててトーク画面を閉じる
「あはは、俺マジで雪音の素好きだわ」
すっ…きとか
簡単に言うよねこの人
「ちゃんとJKだよね」
「そりゃそうですよ、紛れもなくJKですから」
「JKねぇ…俺さ、雪音とこんな関係になる前は生徒会長はロボットみたいだって思ってたよ」
ロボット?
「人形みたいに綺麗で、いつでもその見た目は変わらなくて、勉強も運動もそつなく淡々とこなす人」
それは
「楓くんもですよ」
「は?」
だって、私の楓くんの第一印象も同じようなものだったから
「私も楓くんのこと、機械みたいだってずっと思ってました」
でもそれらは全部
「でも全部ただの第一印象に過ぎなかったです。本当はそんなんじゃなく、表情豊かであったかい人だって知ってます。今はね」