偽恋人の恋愛事情
ーーーー
「雪音!なんで承諾なんてしたんだい!そんな必要なかったのに!」
お見合い前日
明日着る服を選んでいた私の元に現れたシスコン兄
「このほうが効率よく断れるの」
「でも、もし向こうの男がとんでもないやつだったら?雪音が攫われたらどうするんだよ!」
こいつ…
今までの威厳が嘘のようにヤバいな
「攫われるわけないでしょ」
「何言ってんだよ!雪音、もうちょっと自分の可愛さを自覚したほうがいい!」
はぁぁぁぁ
「…ねぇ兄さん」
「なっなんだい!」
「これとこれどっちが似合う?」
そう言って私が出したのは
白くて胸元に大きな朝顔のデザインが入ったワンピースと
青色の腰から裾にかけて波のようなデザインが入ったワンピース
途端に威厳のなくなっていた兄の顔にキリッとしたものが入ってくる
恵まれた容姿を活かす表情に変わる
「んん……白は顔を明るく見せるから会食が昼間ならこっちがいいか。花のデザインもかなり大きめだけど朝顔の色がコーラルピンクだから悪目立ちはしないし日本人らしく控えめな印象もある。スカートの裾もフレアで身体のラインがはっきり見えるのはウエストだけだから、柔らかい印象を与えるにはもってこいだ…」
……
「でも雪音には圧倒的にブルー系統の色が似合う。こっちは白いのより細身のデザインになっているからウエストだけでなく胸元や腰元までラインが見えて大人っぽい印象になる。そこにベースになってるセルストブルーとウエストのネイビーブルーのリボン、そして白色の波のデザインがなお、クールさを掻き立てている…」
………