偽恋人の恋愛事情

『多分あの時は佐賀の中で何か外れて暴走したんだろうな』

「暴走…」

『本人が記憶飛ばすくらいタガが外れたんだろ』

「…忘れてるなら掘り返さない方がいいですよね」

『…んー。そうだな。もしまたあんなことになったらマズイから、雪音がいる時は呼ばないようにする。あと雪音が俺の家にいることも信じてないみたいだからそのままにしておこう』

うん


『だから学校で会った時も普通に接して』

「了解です」

『それから、なるべく2人にならないようにしてね』

「はい」

『佐賀が雪音に対してあのくらいの好意を持ってるってことは事実だから』

…

「は…い」

『ん？』


私の返事が濁ったからか、楓くんが心配そうな声を出す


「…いや、そういう意味で好かれてると思ってなかったので」



恋愛感情

そしてそれを上回る、執着

愛憎に近い…歪んだ想い



『…雪音は、心を開くと距離感がかなり近くなるからもう少し自分の魅力を理解した方がいい』

み、魅力て

『今の時代は色んな多様性が生まれつつあるけど、古くから男と女には、どうしてもそういう感情や意識が伴う関係性がある』

「うん」

『雪音が友達や親しい人として接していても向こうはそうじゃないかもしれない。だから常にその可能性を考えて行動した方がいい』

…