偽恋人の恋愛事情


はぁ

本日何度目かのため息と共に、ストンと自分の席に少し荒く座る


中間テストか

もちろん前々から対策はしているけど
ああやって圧をかけられると不安にはなる

完全対策でいこう

鞄から教科書を取り出し、パラパラとめくる



「会長サ〜ン」



デジャヴ

昨日同様聞きなれない声に呼ばれる

振り向けば、やはり昨日同様坂下さんと松本さんの2人が立っている


「おはようございます。坂下さん松本さん」

「あのさー頼みがあるんだけど」


なんだよ、挨拶くらいしてよ


「頼みですか?」

少しつっけんどんに返す

「中間テストもうすぐじゃん」

「はい」

「会長勉強得意じゃん」

はあ…まぁあなた方よりは

「勉強教えてほしいな〜って」


え?

「私がですか?」

「だって会長成績トップじゃーん」
「頭いいでしょー」

まあ…そうなれるよう努力してますからね

「ダメー?」

いや別にそれは

「構いませんけど」


でもなぜ?

だってあなた方とは昨日初めて喋ったくらいの関係の浅さですけど

…いやでも同じクラスに成績一位の人がいたら聞きにくるのは至極当然のことか?


んーわからん
JKだが思考回路がマイノリティである私にはイマイチだ

まあ何も悪いことはないし、教える方も力になるし
ここは快く承諾しよう


「ほんとー?やったーありがとう」
「やさしーねー会長サンは」

「いえそんな」

「じゃあ放課後教室残っててねー」
「よろしくー」


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