偽恋人の恋愛事情


「問題は…距離ですね。僕の家は街外れにあります。雪音さんを泊めていたということは一人暮らしですか?」

「はい」

「…じゃあ車は持っていない…僕らが家に着く頃に間に合うのは…ほぼ不可能です。それではまずいです…」




え、待って

そんなにやばい?

ちょっと異次元過ぎてあんまり真面目に考えてなかったんだけど


「あの、そんなにやばいんですか?壇さんの家に着いてしまうことが」

「…雪音さんが思っている500倍はやばいと思っていてください」

…えぇ


「…僕の父さんぱっと見ヤクザじゃないですか?」

それは…思いました

「そんなような人間です」


…え?

「リアルに、そんなような人です」

「え」


そんなようなとは…

や、ヤクザってこと?


「事実上ヤクザではありませんが…ヤクザと繋がっていますし、今の会社だってかなり乱暴に上り詰めたようです」

ぱ、ぱお


あなたその血を引いてるの?

「ありがたいことに僕は母親に似ました」

そ、そうなのか


「欲しいと思ったものはどんな手を使ってでも手に入れる強情な男です…」

春正さんが助手席に座るお父さんを見た


確かに爆音で音楽流してるし

流れてる音楽ヘビメタだし

ネクタイ柄悪いし…


…ああやばい

怖くなってきた

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