偽恋人の恋愛事情


「さあもうすぐだぞ!」


やばい

結局解決策は見つからず、豪邸の壇家が見えてきてしまった


「僕が時間を稼ぎます。雪音さんはなんとかここから逃げる方法を考えてください」

「は、はい」


…とは言っても

そんなもの思いつかない

ここがどこかも知らないし

ダッシュで逃げたところで迷子になるのがオチだ


何か考えろ

この状況を切り抜ける最善の方法を…



「雪音さん!」



壇さん(父)の大きな声が聞こえてビクッと肩を揺らす

「は、はい!」


「私はねぇ、立派な人間を育てるために最も重要なのはそれに適した環境だと思うんだよ!」

は、はひ?

何急に

「その人物を取り巻く環境によって、すべては決まる!そしてその環境を作る上で重要なのは人間関係!人との関わりだ!」

…は、はあ

「立派な人間と共に育てば必ず立派な人間になる!君のような人材が壇家にいてくれたら、壇家はさらに上り詰めることができる!」

う、その話か


「当然、君の未来も保証しよう!なに、悪い話ではないはずだ!春正はかっこいいだろー?優しいし優秀な人間だ!そしてその春正にふさわしいのは君のように美しく、品のある優秀な女性!素晴らしい!いい未来像が見えてきた!」

勘弁しておくんなまし

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