偽恋人の恋愛事情
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「わあどれも素敵なお花ですねー迷っちゃいますー」
花屋さんにて、なるべく時間を稼ぐために迷うフリをする私
「確かにどのお花も似合いますからねー」
春正さんも便乗してくれる
「これなんかどうだ!白い薔薇!」
なぜ貴様も着いてくる…
なぜかお父様も一緒に選んでいる
「素敵ですー」
「素敵ですねー」
いや無理があるぞ
かなりここで時間を潰しているが、もうそろそろ決めないとヤバそう
さっきまで黙っていたお父様が選び出したし…
「雪音さんは雪とお名前にあるくらいですから白い花がお似合いです」
「ありがとうございます」
春正さんが白い薔薇を父親から受け取ってふわっと笑う
綺麗な人だ
「とっても綺麗ですね」
私がさらにそれを受け取り、胸元で持って同じように笑う
…と言っても
私は白い薔薇より、赤い薔薇の方が好きだ
「……本当…綺麗、です」
春正さんが目を丸くする
「ははは、春正は雪音さんにゾッコンだな」
!
「なっ!父さん!黙っててください!」
ガハハと笑うお父様