偽恋人の恋愛事情
「さてそろそろ行こうか!長居し過ぎたな!」
うっやばい
「ゆ、雪音さんどの花も似合うから結局決められないなぁ!」
春正さん、時間稼ぎモード
「どっどの花も綺麗ですからねぇ!」
私便乗モード
「なーに。迷うんなら全て買ってしまおう!」
なっ!?
「店員さん!この店にある花を全部…」
わわわっ!
「薔薇っ!バラにします!白い薔薇!」
慌ててそう言う
全部くださいなんて漫画の世界だけだと思ってた!
春正さんもあちゃーと言う顔をしている
「お?そうか!じゃあそれで行こう!」
はぁ…
この人、マジ怖い
「100本くらい発注するか!」
はぁ!?
「一つで十分です!」
「一つ?そりゃあ少ないだろう」
いやいやいや!
「花は一輪でも十分美しいです!束になんかならなくても一輪の花には根も茎も、花びらもちゃんとあります。球根から芽へ、芽から蕾へ、そして何枚もの花びらをつける、その成長こそが美しいんです!数なんか問題ではありません。ご覧になってください」
白い薔薇を掲げる
「この薔薇は八重咲きです。何十枚という花びらが重なり合って咲いています。この一輪には果てしない美しさが詰まっていますから。私はこれでも勿体無いくらいです」
………
なんかもう、必死に説得したから
自分でも何を言ったのかわかっていない
とにかく頭に浮かんだ説得文句を連ねた