偽恋人の恋愛事情



抵抗虚しく

壇家へ到着してしまった…


「…ごめんなさい雪音さん。これ以上は難しいです」

「いや…最善を尽くしていただきありがとうございます。いざとなれば…私が自分の意志を申し上げます」


…こ、怖い

あまりの豪邸に驚愕なう

城木家もかなり豪邸だと思っていたが、これに比べれば…可愛いもんだ


ドーンとそびえ立つのは漫画で見るような大豪邸

広い庭の奥に洋風なテーマパークにあるレベルのお屋敷がある


お、お姫様になった気分だ…

嬉しくないけど


車のドアが開き、春正さんが申し訳なさそうに私の手を取って下ろしてくれる


「さあ雪音さん!積もる話もいっぱいだ!早速中へ…」

やばい


しかし

その時だった



キキィィィ!!

と、派手な車のブレーキ音が聞こえた


振り向けばスリップしかけながらえげつないブレーキをかけて横向きにスライドしてくる黒い車が現れる


「な、なんだ?」


……まって

あの車…


「雪音さん…もしかして」

春正さんが私を見る


うん……あれは

あの車は



「お父さんのです」



私の…父親の車だ



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