偽恋人の恋愛事情



家を出て、送られてきた住所とは真逆の方向に走る


「雪音…っ」


雪音が好きだ

めちゃくちゃ好きだ


本当はお見合いなんてやめろって言いたかった

言えなかったのはこの関係のせい


でも俺の間違いじゃなければ、あいつだって俺が好きなはずだ!

だって…


この前の電話の時、お見合いすることになったからって報告された時…




ーーー



『お見合いが終わったら、帰ってもいいですか』

電話の向こうで彼女がそう言った

『楓くんの家に…帰りたいです』


この人は一体どういうつもりでこんなことを言っているのだろうか

自分がどんなを発言をしているのわかってないのか?

…なんで俺の家に帰りたいの?

俺に会いたいの?


その答えを…帰ってきた時に聞かせてくれ


「うん…帰っておいで。待ってるから。どんだけ夜遅くなっても、起きて待ってるから」


だから、その時

そのワケを聞かせろ

そして…この一週間分の雪音を、俺にちょうだい


もう病気だ

俺は治らない病気

自分がやばいってわかっていながら

あんたを死ぬほど求めてる


『ありがとう』

…うん


『本当に、好きです』


………

……は?


「えっ?」

『え?な、なんですか?』


………

気づいてない?


「あ、いや?なんでも、ごめん、こっちの話」


……今、え?

俺の聞き間違い?


……なワケないよな!?

は!?



ーーー


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