偽恋人の恋愛事情


「……するワケねぇだろ」

『なんだ?』





「…連絡するワケねぇだろ!お前みたいな父親に!雪音がなんで俺に連絡したと思ってんだ!なんで家出したか考えたのかよ!」

『…は』

「雪音はあんたより俺に頼った!あんたが助けてくれると思わなかったから俺に頼ったんだ!なんでわからねぇんだ!娘のSOS無視すんのかよ!」

『…』


むかつく!

クッソムカつく!

この時間が無駄だ!


「成績だとか、将来だとか、そんなことより優先すべき雪音の気持ちがあるだろ!?未来より今だ!今、雪音が苦しんでるんだったら助けるのが普通だろう!なんで自分の親に雪音が素直に手を伸ばせないのか!考えたことないのか!?」

『…っ』


「雪音が助けを求めてる。もしあんたが、俺より雪音を愛してるというのなら力を貸してくれ!俺はそのあとどうなったって良い。ただ雪音を助けたいだけなんだ!」

『……』

「……」

なんで何も言わねぇんだよ



「…もしかして、雪音のことどうでも良いんですか?」

『っ…そんなわけがないだろう!』




…ああ

やっぱりそうだ


雪音

お前みたいな人間をそばに置いておいて

愛さないなんておかしいんだよ


だから父親もお兄さんも、雪音を愛してる


間違いなく


< 238 / 296 >

この作品をシェア

pagetop