偽恋人の恋愛事情
「雪音は多分壇家にいる」
お兄さんが黒い髪をかきあげながら言う
雪音と同じような、少し異国の雰囲気を感じる顔立ちと肌の色だ
「はい、住所が送られてきました。お見合いをした人が雪音の携帯で俺に、雪音さんを失いたくなければ今すぐ来いと言ってきたんです」
「…なるほど。息子の方は雪音の味方か。となると壇社長が直々に関わっていると見た方がいい…その連絡は君にいったのか」
そう、なぜか俺に
「俺にも連絡は来てたんだけど」
お兄さんが携帯を出す
「あまりにも情報がなさすぎて何もできなかったんだ。やばい帰れないかもしれないとだけ来てた」
…雪音
もうちょっと詳しく連絡しなさい
「父さんには言ったんだけど、何もしない方がいいって」
え?
何もしないって…なんで?