偽恋人の恋愛事情

雪音side




「な、なんで?楓くん…」


どういうこと?

どうしてお父さんと楓くんが一緒に現れるの?

何が起こってるの?


私の腕を引いた楓くんは私の前に立ち、壇さんに向かっている


「なんだね、君は。いきなり入ってきて、一体何のつもりだ」

さっきまで大口を開けて笑っていた壇さんの目が鋭くなりぞくりと悪寒が走る


「俺は、雪音の同級生です」

楓くん…?

「同級生だぁ?部外者が入ってくるようなところじゃないのだが」


「部外者のつもりはありません。俺は雪音の特別な同級生です」

…特別な?

それは偽恋人ということ?



「単刀直入に申し上げます。俺は雪音を愛しています」

…ふぁっ!?


「ですから、お見合いだか何だか知りませんが、雪音はあなた方に渡しません」

なっなっなっ

何言ってるの!?


愛してるって偽恋人として…言ってるんだよね?

この場を凌ぐために、私を助けるために言ってくれてる…ん、だよ…ね?



いや、助けを求めたのは私だよ?

でも…偽物なのに…ここまでやってくれるの?

何の感情も持っていないのに…ここまで、手を伸ばしてくれる?


それとも…何か…この行為の発動源になる感情を

持ってくれているの?

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