偽恋人の恋愛事情
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「じゃあ明日の夜に帰ります」
「わかった。…鈴本くん」
楓くんの家の前で車を降りた私と楓くん
運転席の窓を開けてお父さんが優しい顔をする
「色々とありがとう」
「いえ…こちらこそ、ありがとうございました」
「…壇社長に立ち向かう君の姿は頼もしかったよ」
…うん
本当にね
「なんかかっこいいところは春正くんに取られた気がしますけどね」
あれは、ちょっと予想外だったね
「ははは、君も見事だったぞ」
かっこよかったよ
「じゃあ我々は帰る…が、楓くん」
?
「まだ、YESとは…言ってないからな?一つ屋根の下だ…気をつけなさい」
なに?
「う……は、はい」
お父さんは少し顔を上げて揶揄うように笑う
その向こうで兄さんが何か叫んでる
「じゃあな、雪音」
「うん」
「また明日」
…
「また明日」