偽恋人の恋愛事情


目をぱちくりさせて硬直している2人

「あ…え」
「あ……の」

「まだわからないかな、目障り」

あ、こら


「鈴本くん」

私の声に振り向く


その目は死んでいるかと思いきや、思ったよりもわかりやすく怒りの感情が浮き出ていて

少し意外だった


「言い過ぎですよ」

「でもこいつらが」

「目障りなんて言っちゃダメですよ」

「…でも」

「でもじゃないの」

「…うー」

唸ってる


…ふふ
さっきまでの大蛇のような雰囲気とは打って変わって大型犬みたいにしゅんとしている


「ありがとうございます」

庇ってくれて

背伸びしてその頭を撫でた

「え…」


「帰りましょう。お二人もこれに懲りたらもう私に喧嘩売らないでくださいね
もしそれでも売ると言うのなら全力で買いますけどね」


すごい勢いで火蓋を切ったからもっと熾烈な戦いになると思っていたが

思ったよりあっさり鎮火してしまった


ポカンとしたままの2人をおいて私は鈴本くんの袖を引っ張って歩いた

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