偽恋人の恋愛事情



「昨日の勉強会、言ってたクラスメイトの女の子ってあの2人だったのか」


なぜわかる

「昨日の放課後もあの2人に絡まれた。やけに付き合ってることについて聞かれてた。もっと早く気づけばよかった」

いやいやいや

「鈴本くんは何一つ悪くないですよ。気づくなんて無理な話です」


「…今朝、佐賀から聞いたんだ。この話」

え、あ…あー
言ったのかあの人

「佐賀くんは、偶然」

「うん。それも聞いた。でもちょっとだけ思った」




「その時教室にいたのが佐賀じゃなくて俺だったらよかったのにって」


……

それは

こんな面倒にならなかったから…とか

そういう意味だよね?



「私は佐賀くんで良かったと思いますよ」

「……は?」


あの鈴本楓が怒ってた

私のことに


「だってそうじゃなきゃ、あんなに怒ってるあなたは見れなかったので」

「え」

鈴本くんを見る


「私のために怒ってくれてありがとう。ちょっと嬉しかったです」

慣れない笑顔を向ける



「そ、れは…どんな顔?」

だ、だからっ

「ありがとうの顔です!」



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