偽恋人の恋愛事情
「それに比べれば会長はスゲェと思うよ」
へ?
「勉強、めっちゃやってるでしょ?」
「まあはい」
「俺みたいな運や駆け引きじゃなくて確実な積み上がりが生み出した結果だろ?すげぇよ。俺は努力って苦手」
…努力
「私だって好きでやってるわけじゃないですよ」
「え?」
「ただ、少しでもマシな生き方をするために全力で仮面を作ってるんです」
安全で確実に私を守ってくれる分厚い仮面
「みんなは私を品行方正で真面目な生徒会長だと言うけれど…まあもちろんそれを目指しているのでふさわしい称号だと自負していますけどね。
でも実際はクラスメイトに躊躇いなく泥をかけちゃえるような人間だったりもするんです」
「あはは、あったねそんなこと」
「見かけに騙されてはいけませんよ。私は真面目な良い人間ではありません
泥をかけたこともクソになったことも悪いと思ってないから反省してないし」
「良いと思うよそれで」
え?
「俺はお堅い会長より、今の会長の方が好きだわ」
すっ……
す、
好きと言うのは…人間としてだ
それ以外の意味ではない
意味ではない
狼狽えるな私、冷静沈着に…
「私も好きですよ、私のこと」
「ぷっはは!」
この人は…
よく笑う