偽恋人の恋愛事情


ガラリと生徒会室の扉が開く


誰かが忘れ物を取りに来たのかと少し視線を向ければ

見慣れない人物が立っていた




確か、彼は

同じ学年の…


生徒会長として、大体の生徒の情報は押さえているつもりだ

特に目立つ人間であれば当然細かな情報まで入ってきている


現在現れたこの生徒も『特に目立つ』に含まれる人物

三年三組の鈴本楓


いや、彼の場合は生徒会長であるかは関係なく、よく知っている

なぜならば、期末テストの順位発表で常に私の下にある名前が彼の名前であるからだ

一年の期末テストからずっと私に続き、2位の座に鈴本楓という名前はあった

毎度の順位発表で抜かされていないかドギマギしていた


また、彼の噂は学校中で有名である

それはまあ一目瞭然と言えばそうなのだが

誰が見ても「かっこいい」に分類されるであろう整った顔立ち

真っ黒の癖のない髪と切れ長で少し目つきの悪い目
どこか異国の雰囲気を醸し出す白い肌と高い鼻

いわゆるイケメンのモテ男くんである


そんな彼がここに現れた経緯は全く持って理解できないが

感情のない目でじっと私を見るものだから変な汗がこめかみを伝う


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