偽恋人の恋愛事情
「……」
「……」
私もどちらかというと感情は表に出ない方である。
二人揃って真顔でただ見つめ合うという謎の空間
とてつもなく気まずい
え、気まずい。
何か言ってくれないかしら
「…何か用ですか?」
痺れを切らして私が声をかける
「ああ。あんたに」
え、私に?
なに、怖いのですが
冷たい音でそう言われて内心ビクビクしながら平静を保つ
「なんですか」
「頼みたいことがあって」
なんだろう
学校のモテ男くんが私に?
全く持って想像のつかない頼み事
真っ直ぐにこちらに向かって歩いてきた鈴本楓
私の目の前で停止して
じっとその鋭い目つきで私を見る
そしてその口を開いた
「俺の彼女になってください」
・・・
は?