偽恋人の恋愛事情


「シャワーありがとうございました」


用意されていた鈴本くんの服は言わずもがな大きくて

白色の半袖Tシャツだったけど袖は肘まで覆っているし

ズボンも紐で縛れるタイプだったから落ちることはないけど、長さが圧倒的にオーバーしていたので3、4回折った


こんなに違う?

私別に身長低いわけじゃないのに

なんかちょっと悔しい


「あ…デカかった?それでも一番小さいやつにしたんだけど」

「……」

「それどんな顔?」

「私チビじゃないですって顔です」

「チビではないよ?でも俺よりは小さい」




鈴本くんがくしゃっと笑って私の頭に手を置く

ドキッと、少女漫画でよくある音が鳴る


でも
ここから育つかもしれない感情を育ててはいけない


私が彼を頼ったのは、彼が私を助けてくれたのは

特別な感情の派生ではない


そう、思わなければならない

< 82 / 296 >

この作品をシェア

pagetop