偽恋人の恋愛事情


「…あんたは俺がその話を聞いて幻滅するような人間だと思うわけ?」

え?

なんだか冷たい声でそう返されて思わず身体を硬くする


「なぁ、雪音」



っ!

俯いていた私の顎をその大きな手でクイっと持ち上げる


「例え偽物でも俺たちは恋人でしょ」

か、顔近…

「俺の前では生徒会長の仮面も品行方正な仮面も全部外してくれて構わない」

「鈴本く…」

「楓」

「…か、楓くん」


ひ、ひやぁぁぁぁ
どきどきする!!!

キャパオーバーになる前に離れた方がいいよっ!

きっと今私の目はグルグルになっている



「…さっきの話本当?」

「え、あ、はい」

嘘言わんよ別に

「…そう、か…そんなことが」




「すずもとく…か、楓くん、なんか怒ってる?」

私の問いかけにゆっくり私の目を見る

「うん」

えっなんで
あ、お父さんが楓くんのことを低脳とか言ったから?


「…あんまり人様の家庭事情に口を出すのはよくないって思ってはいるんだけど」

グッと、私に触れていない方の手で拳を握る


「…毎日顔見てるはずなのに、雪音がこんなんになるまで気づかなかったなんて…一体お父さんやお兄さんは雪音の何を見てるんだよ」



「成績ですよ」

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