偽恋人の恋愛事情


「制服乾いた?」

「なんとか」

「まあブレザーとスカートはどう頑張ってもそれしかないからね。あ、雪音」



「わっ!」

振り向くと白い布がこっちに飛んできた

これは…シャツ?


「カッターシャツ、俺のやつだけどそれ貸すよ」

ええっ!

「け、結構です!」

「昨日雨でビッショビショだったし、変えた方がいいよ。雪音いつも清潔にしてるんだから」


…ま、まあ事実

雨で濡れて乾いたよれよれのシャツは着たくない

「…ありがとう、ございます」

お言葉に甘えてみようか


でもこれさぁ…


………


やっぱり


「あはは、ぶかぶかだ」

制服を着て洗面所から出てきた私を見て笑う楓くん

「変ですか?」

ブレザーの中だからあんまり見えはしないけど

明らかにサイズが合っていないのは分かる


「まあ…誰かのやつ着てる感はすごい」

ぱお

「でもまあ…いんじゃね?俺のだし」

ええ、いいんですか


「だって、雪音は彼女でしょ?俺の」



「そうですね、表向きは」


ニヤッと笑って言ってやると

楓くんも同じように笑った

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