偽恋人の恋愛事情
俺が会長を選んだ理由は二つだ
一つは、興味があったから
白雪姫とまで呼ばれる美貌を持つ彼女に、男として興味が湧かないわけはない
でも勘違いしないでほしい
俺は外見だけに興味を持ったわけじゃない
彼女は綺麗だけど、その代償としてあまり人に好かれる人間ではなかった
真面目で冷静で、その姿は捉えようによっては冷酷とまで見えた
完璧な彼女の近くにいると自分が惨めになる
そう思う人間は数多くいる
実際、彼女を悪く言う人間はいた
完璧ぶっててイタい
調子に乗ってる
鼻につく
真面目すぎてイラつく
など、よく意味のわからないものまで
その噂は彼女の耳まで届いていた
目の前で聞こえるように言ったり、あからさまな態度をとる低脳な人間がいたからだ
しかし彼女にはなんのダメージもなかった
それどころか、真正面から反論したり
その姿を改めようなどとすることはなかったのだ
彼女の中で自分は自分だった
とても強く己を持っている人間だった
それが、素直に羨ましかった
そして、とてもカッコよかった
強がって1人で泣いたりすることもない
それが、あの生徒会長だったのだ
興味はやがて憧れへ、憧れはまたもっと深い興味へと変わっていった
