また、星の下で君に会えたなら。~彦星の生まれ変わりは織姫女子を溺愛する~
なにやってんだ?
妨害できるわけないじゃん。

なぜ妨害できないかって?
それは、この声は意思伝達によって聞こえるものだからである。

輪廻が天海原(あまのうなばら)と地上で交信する時は、天海原に住む神-この世に存在する全ての神が使用する神格源語(しんかくげんご)という原語を用いる。
いわゆる、電波のような、電子信号のようなものである。
神格源語は、人間には一瞬にして理解することも、時間をかけて解読することも出来ない。
だからこそ、意思伝達ではその信号が伝達の最中に脳内で自分が理解できる原語に翻訳される、否、勝手に理解できる。
だから、あの声も頭の中で勝手に理解出来たのだ。

──────と神格源語の原理について俺が記憶を掘り返していると、激怒の色を重ねた声で思いっきり怒鳴る輪廻の神と、それを宥めようとする輪廻の声が合わさり、不協和音を奏でた非常に居心地の悪い、声々が耳を通りやっと脳に届く。

『おい!聞いてんのかぁ?』
「ちょっと~、主様、黙ってて下さい!」

「ちょっと黙ってろ、うっさい、、」
(ッムカムカッ)
そろそろ、うるさいから止めてほしいのだが、、、。

『おい!今なんつったぁ?』
「主様~!」

(ッブチ)
あー、切れた。俺の堪忍袋。
よく、ここまで耐えてくれた。
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