ごめんあそばせ王子様、 離婚経験者の私に怖いものなどございません
***おまけ***
その頃、シャルル・ド・ゴンドランテは馬車に乗ってシャルタン家の領地に向かっていた。
彼も一応仕事があるから、自由になる時間を作るのは大変だったのだ。
だが、彼には自信があった。
フランソワーズの兄、ルイ・ニコラスから聞いたフランソワーズの理想のプロポーズについての知識があるからだ。
もちろん、彼はフランソワーズがジョゼフ・ド・コルニーユ伯爵と婚約したことを知らない。
馬車の中には大きなバラの花束が積まれているし、彼の胸ポケットには王都で人気の宝飾店で作らせた指輪がある。
シャルタン家の領地の屋敷だって、ふたりの思い出の場所のはずだ。
(ふたりで愛犬と遊んだ記憶がある)
フランソワーズにとっては大きな犬をけしかけられて、泣かされた記憶だとはシャルルは気が付いていないが。
(待っててくれ、フランソワーズ)
王家の馬車は一路シャルタン家の領地を目指す。
その先にあるのは……。
残念な結果だと、彼は知らない。