深町山の秘密
恭平がそう言うと、真はさらに驚いた顔を見せる。きっと、野生のカブトムシやクワガタを見たらその大きさに驚くのだろう。

途中、すれ違った登山客と挨拶を交わしながら渉たちは山道を進んでいく。歩き始めて三十分後、ついに「立ち入り禁止」と書かれた看板の前までたどり着いた。いつもならここで引き返しているが、今日は違う。

「よし、行くぞ!」

渉がそう言うと、恭介と未来が「オオ〜!」と言いながら迷うことなく突き進んでいく。真はまだ迷っているような顔だったが、渉たちのあとをついて来てくれた。

「もうすぐ頂上だよ!」

未来がそう言い、走り出す。恭介と渉、そして真も見え始めた頂上へと地面を蹴り、走った。そして、渉たちの目に眩しい太陽の光が入り込む。

「すごい……」

誰かがポツリと呟く。渉たちの目の前にあったのは、美しい草原と一本の大きな楠。そして、渉たちが見たことのない美しい紫の花々だった。









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