完璧からはほど遠い
私の強い拒絶に、成瀬さんもさすがに異変に気が付いた。私の肩からようやく手を下ろし、眉間に皺を寄せて混乱した表情をした。
「え、結婚しない? ちょっと待って?」
「結婚どころか、あんなのと戻ったりもしないですよ、絶対お断り!」
大きな声で否定した途端、突然目の前の成瀬さんが脱力したようにへなへなとその場にしゃがみ込んだ。膝に頭を埋め、顔が見えなくなる。そんな彼を、私は上から覗き込んで声を掛けた。
「あの、成瀬さん……?」
「かっこわる……俺そうだと思い込んで、でも終わりぐらい綺麗にしようって……」
よくよく見れば、彼の耳は真っ赤になっていた。そんな成瀬さんを見て、今更ながら彼が告白してくれたのだと思い出し、私の心臓は一気に高鳴った。痛くて苦しいくらい。それと同時に、信じられない気持ちでいっぱいだ。
手に持っていた容器を落としてしまい、軽い音が響いた。成瀬さんはそれを素早く拾うと、立ち上がり私を見た。やっぱり、どことなく顔が赤い。
「……とりあえず、上がりませんか。もう少し色々話したい」
そう提案した彼の目は、見たことないほどに真剣で熱くて。
私は返事すらできなかったので、必死にうなずいた。
「え、結婚しない? ちょっと待って?」
「結婚どころか、あんなのと戻ったりもしないですよ、絶対お断り!」
大きな声で否定した途端、突然目の前の成瀬さんが脱力したようにへなへなとその場にしゃがみ込んだ。膝に頭を埋め、顔が見えなくなる。そんな彼を、私は上から覗き込んで声を掛けた。
「あの、成瀬さん……?」
「かっこわる……俺そうだと思い込んで、でも終わりぐらい綺麗にしようって……」
よくよく見れば、彼の耳は真っ赤になっていた。そんな成瀬さんを見て、今更ながら彼が告白してくれたのだと思い出し、私の心臓は一気に高鳴った。痛くて苦しいくらい。それと同時に、信じられない気持ちでいっぱいだ。
手に持っていた容器を落としてしまい、軽い音が響いた。成瀬さんはそれを素早く拾うと、立ち上がり私を見た。やっぱり、どことなく顔が赤い。
「……とりあえず、上がりませんか。もう少し色々話したい」
そう提案した彼の目は、見たことないほどに真剣で熱くて。
私は返事すらできなかったので、必死にうなずいた。