完璧からはほど遠い
話しかけている大和をよそに、成瀬さんは手元の紙を何枚か取り出した。そしてそれを大和と佐川部長に手渡す。まるでプレゼンしているような姿だ。
「これ、富田さんが数名の友人に送りつけたラインの文章を撮影したものです」
「は? な、なんでそんなもん」
「佐川部長、日時はそこに書いてありますね。これ、彼が佐伯さんに復縁、それとプロポーズをしてきっぱり断られた日の夜に送信されたものです。断られてるのに文面では、『結婚することになったから』と決定事項のように書かれてますね」
「うん、これは願望とは呼べないね」
冷静に佐川部長も答える。私はちらりとその紙を覗き込んだ。確かに、ご丁寧にいくつかスクショされたものが載っている。
どうやら、私が沙織の家に荷物を取りに行った際、成瀬さんはこの文章を集められないか沙織に相談していたらしい。沙織も快く承知し、同期たちに事情を説明してかき集めたものだとか。沙織にはつくづく頭が上がらない。今度ランチごちそうしよう。
大和は固まって自分が送った文章を見ている。だがすぐに表情を緩め、穏やかな口調で言った。
「すみません、今見返したら確かにそうですね。断られたショックで送ってしまったようです。噂になってしまって申し訳ありません。ただこれでストーカーって呼ばれるのは」
「次に、佐伯さんの家に二度も足を運び、一度は待ち伏せしていますね」
淡々と話を進める成瀬さんに、大和は少し笑った。
「これ、富田さんが数名の友人に送りつけたラインの文章を撮影したものです」
「は? な、なんでそんなもん」
「佐川部長、日時はそこに書いてありますね。これ、彼が佐伯さんに復縁、それとプロポーズをしてきっぱり断られた日の夜に送信されたものです。断られてるのに文面では、『結婚することになったから』と決定事項のように書かれてますね」
「うん、これは願望とは呼べないね」
冷静に佐川部長も答える。私はちらりとその紙を覗き込んだ。確かに、ご丁寧にいくつかスクショされたものが載っている。
どうやら、私が沙織の家に荷物を取りに行った際、成瀬さんはこの文章を集められないか沙織に相談していたらしい。沙織も快く承知し、同期たちに事情を説明してかき集めたものだとか。沙織にはつくづく頭が上がらない。今度ランチごちそうしよう。
大和は固まって自分が送った文章を見ている。だがすぐに表情を緩め、穏やかな口調で言った。
「すみません、今見返したら確かにそうですね。断られたショックで送ってしまったようです。噂になってしまって申し訳ありません。ただこれでストーカーって呼ばれるのは」
「次に、佐伯さんの家に二度も足を運び、一度は待ち伏せしていますね」
淡々と話を進める成瀬さんに、大和は少し笑った。