完璧からはほど遠い
……あるんですよ、欠点。家に帰ったら何も出来ない無気力人間なんですよ。仕事中とはまるで別人なんですよ。
もちろん言えるわけもなく、私は愛想笑いをしてごまかした。それと同時に、あの残念でならない成瀬さんの姿は、私しか知らないのかあ、と思うと、どこか胸がムズムズした。なんだろう。
ちらりと成瀬さんを見る。上司との会話を終え、自席に戻っていく。いつでも整理整頓されたすっきりしたデスクだ。玄関にあるごみ袋も同じように処理できないものか。
と、彼に祝いの言葉を言いに女子社員たちが駆け寄る。どの子もメスの目を輝かせている。そしてその中に、高橋さんの姿を見つけた。あの子、私が午前中にお願いした資料作成ちゃんと進んでるんだろうか。
呆れている私の視線に気づいたのか、今泉さんが小声で言う。
「どう? 指導のほどは」
「ははは、まあ、はい」
「いつも男たちに仕事教えてください~って駆け寄ってるよね。もう冬だっつの、いつまで入りたての気分なのよ。しかも、佐伯さんがちゃんと丁寧に教えてるのに」
「なかなか思うように進まず……」
「何しに来てんのよ会社に。男探しに来てんのかな」
「ううん、私の教え方が悪いのか」
「私よく隣から見てるけど佐伯さん教え方本当丁寧だしうまいよ。聞いてないだけだよあれ。早々に寿退社とか狙ってんのかね、あの子明らかに成瀬さん狙ってるよね」
私は目を丸くして今泉さんを見てしまう。彼女は確信を持った表情で言い切った。
「絶対そうだよ、まあ競争率ナンバーワンの相手だしあんまり上手く行ってないみたいだけど」
「え、でも高橋さんには」
彼氏がいますよ。と言おうとして黙る。どうして知ってるの、ともし聞かれれば上手く言える自信がない。まさか『私の彼氏が寝取られまして、そのあと匂わせてくるんです』とは言えまい。
沙織も見たというから、間違いなく大和と付き合ってると思うんだけどなあ。成瀬さんを狙ってるというのは間違いじゃないかと思う。
もちろん言えるわけもなく、私は愛想笑いをしてごまかした。それと同時に、あの残念でならない成瀬さんの姿は、私しか知らないのかあ、と思うと、どこか胸がムズムズした。なんだろう。
ちらりと成瀬さんを見る。上司との会話を終え、自席に戻っていく。いつでも整理整頓されたすっきりしたデスクだ。玄関にあるごみ袋も同じように処理できないものか。
と、彼に祝いの言葉を言いに女子社員たちが駆け寄る。どの子もメスの目を輝かせている。そしてその中に、高橋さんの姿を見つけた。あの子、私が午前中にお願いした資料作成ちゃんと進んでるんだろうか。
呆れている私の視線に気づいたのか、今泉さんが小声で言う。
「どう? 指導のほどは」
「ははは、まあ、はい」
「いつも男たちに仕事教えてください~って駆け寄ってるよね。もう冬だっつの、いつまで入りたての気分なのよ。しかも、佐伯さんがちゃんと丁寧に教えてるのに」
「なかなか思うように進まず……」
「何しに来てんのよ会社に。男探しに来てんのかな」
「ううん、私の教え方が悪いのか」
「私よく隣から見てるけど佐伯さん教え方本当丁寧だしうまいよ。聞いてないだけだよあれ。早々に寿退社とか狙ってんのかね、あの子明らかに成瀬さん狙ってるよね」
私は目を丸くして今泉さんを見てしまう。彼女は確信を持った表情で言い切った。
「絶対そうだよ、まあ競争率ナンバーワンの相手だしあんまり上手く行ってないみたいだけど」
「え、でも高橋さんには」
彼氏がいますよ。と言おうとして黙る。どうして知ってるの、ともし聞かれれば上手く言える自信がない。まさか『私の彼氏が寝取られまして、そのあと匂わせてくるんです』とは言えまい。
沙織も見たというから、間違いなく大和と付き合ってると思うんだけどなあ。成瀬さんを狙ってるというのは間違いじゃないかと思う。