完璧からはほど遠い
 今泉さんはふうと息を吐きながら伸びをする。

「とにかく、あまりにひどかったら上司に相談した方がいいよ。まあ、あの子の場合その上司にも媚売ってるから上手く行くかわかんないけどさ」

「そうですね……合わないなら指導係を代えてもらったほうがいいかもですしね」

「佐伯さん、自分の時間削って教えてるから残業も増えてるのにね。お疲れ様」

 哀れんだ目で見られたが、私の頑張りを見ていてくれる人がいるんだ、と思うと嬉しくて笑ってしまった。教え方が上手い、と褒められたのも自信に繋がる。

 成瀬さんも最近よく頑張ってるね、と褒めてくれたし、やる気出ちゃうな。単純かな。

 私は気合を入れて仕事に取り掛かった。



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