【WEB版(書籍化)】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました
「出来た。とってもお似合いです」

 見おろすと、胸元で青い宝石のブローチがきらめく。

「アシュレイ様が、私のことを気にかけて下さって嬉しいです。このブローチは私にとって宝物ですわ。本当に……ありがとうございます!」

 感謝を伝えると、アシュレイは喜びが溢れるように笑顔になった。
 
 
 ただ、家庭教師と雇い主という関係から恋人になるにあたって、私はイアンのことが気がかりだった。

 私たちが急に恋人になったら、幼いあの子を混乱させてしまうかもしれない。
 
「折を見て慎重に打ち明けましょう」と提案する私に、アシュレイは「明日、俺から話します」と言った。

 分かりました、お任せします――と答えたものの。
 アシュレイは一体、どんな風に説明するんだろう……?
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