【WEB版(書籍化)】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました
 翌朝、朝食のテーブルセッティングを手伝っていると、イアンが「ビッキー」と叫んで駆け寄ってきた。

「僕すごくうれしい! 幸せ家族大作戦が本物になるんだね! やったー!ビッキー、大好き!」

 私の腰に両手を回し、甘えるように抱きついてくる。

『明日、俺から話します』と言っていたけど、アシュレイ様ってば、朝から早速イアン様に報告したのね。
 
 こ、行動が早すぎるわ……。
 
 イアンの頭を撫でていると、ダイニングルームにアシュレイが入ってきた。

 爽やかな笑みを浮かべ、無言でグッドサインを送ってくる。

 イアンへの報告は、無事に成功したということだろう。

 でも念のため、私はイアンの頭を撫でつつ、穏やかな声で尋ねてみた。

「イアン様、驚きましたよね?」
 
「ううん、全然! アシュレイがビッキーのこと好きだって。僕は、ピンときてたから!」

「ええっ!? そうなんですか?」

「気付いてなかったのはビッキーだけだよ」
 
 ここにも名探偵がいた!
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