【WEB版（書籍化）】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました

　アシュレイといい、イアンといい、この家の男性陣は洞察力に優れているわね。
　
「僕、アシュレイとビッキーが結婚すればいいのになぁって思って、キャシーに相談してたんだ。そしたら昨日、『あの二人がくっつくのは時間の問題よ』ってキャシーが。本当になってビックリだよ！ やっぱりキャシーはすごいや！」

　最近の子はませてるなぁ……。
　特にキャシーちゃんは、私よりも鋭いかもしれない。
　
　アシュレイに視線を向けると、彼も同じ事を思っていたのか「子供って、俺たちが思っている以上に勘が良いですね」と苦笑していた。

「さて、イアンにも認めてもらったし。ビクトリアさん、早速指輪を買いましょう！」

「あっ！ 僕も一緒に選ぶー！」

「ええ！ あっ、いけない、もうこんな時間。二人とも早く食べないと遅れますよ！」

　私の一言で、アシュレイとイアンはそれぞれ時計を見て「やばい」と声をあげた。ドタバタと忙しなく朝食をとり、慌ただしく身支度を整える。
　
　一見、いつもと変わらない賑やかな朝の風景。