【WEB版(書籍化)】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました
安堵のあまり、私はその場にヘナヘナとしゃがみ込んだ。
腰が抜けてしまったのか、立ち上がることが出来ない。
倒れ込むように床に座り込んだ私を見て、イアンが泣きそうな顔で狼狽える。
「具合悪い? お医者さん呼ぶ? あっ、執事さんに言って、アシュレイに帰って来てもらお!」
「ちょっと目眩がしただけなので、大丈夫ですよ」
安心させようと、にっこり笑ってみせる。
だがイアンは両手を握り絞め、唇を噛んで首を横に振った。
「ママも、いっつも『大丈夫だよ』って言ってた。けど、急に倒れて病院に運ばれて。それからすぐに、死んじゃったんだ。だから、大人のひとの『大丈夫』は信じないって、僕は決めてる」
「イアン様……」
「ビッキーは今、大丈夫じゃないって顔してる。でも、僕は何してあげればいいか分かんないから、アシュレイを呼ぶ。いいですね!」
必死に私を助けようとしてくれるイアンの姿に、泣きそうになる。
いつの間に、この子はこんなに頼もしくなったんだろう。
素直に「はい」と従うと、イアンが「うん、よろしい」と大人ぶった口調で言った。
腰が抜けてしまったのか、立ち上がることが出来ない。
倒れ込むように床に座り込んだ私を見て、イアンが泣きそうな顔で狼狽える。
「具合悪い? お医者さん呼ぶ? あっ、執事さんに言って、アシュレイに帰って来てもらお!」
「ちょっと目眩がしただけなので、大丈夫ですよ」
安心させようと、にっこり笑ってみせる。
だがイアンは両手を握り絞め、唇を噛んで首を横に振った。
「ママも、いっつも『大丈夫だよ』って言ってた。けど、急に倒れて病院に運ばれて。それからすぐに、死んじゃったんだ。だから、大人のひとの『大丈夫』は信じないって、僕は決めてる」
「イアン様……」
「ビッキーは今、大丈夫じゃないって顔してる。でも、僕は何してあげればいいか分かんないから、アシュレイを呼ぶ。いいですね!」
必死に私を助けようとしてくれるイアンの姿に、泣きそうになる。
いつの間に、この子はこんなに頼もしくなったんだろう。
素直に「はい」と従うと、イアンが「うん、よろしい」と大人ぶった口調で言った。