【WEB版(書籍化)】バッドエンド目前の悪役令嬢でしたが、気づけば冷徹騎士のお気に入りになっていました
11/5 発売当日 記念SS
見れば、上官であるマクガレンが「よ!」と片手を上げて近づいてくる。
その背後には、夫人と娘のキャシーの姿もあった。
「マクガレン大隊長も、ご家族で買い物ですか」
「あぁ、先の任務で特別手当が入ったから、『なにか買え!』って言われてよ」
マクガレンが家族の方をちらりと横目で見ながら、ヒソヒソ声で囁く。
騎士団では、どんな敵にも臆さず立ち向かう男の中の男。
鬼の大隊長と恐れられるマクガレンも、愛する妻と娘のおねだりには抗えないようだ。
「ったく、褒美が欲しいのは俺の方だぜ」
口ではそう悪態を吐きつつも、家族の楽しげな姿を見つめるマクガレンの眼差しは優しく、口元には隠しきれない笑みが浮かんでいる。
「大隊長もお幸せそうでなによりです」
「まぁ、な。んで? お前の方は?」
「うちは結婚指輪を買いに」
「あぁ、そうか。たしか式は来春だったよな。救国の英雄の結婚式だ。大がかりな式にするんだろ? 日取りの良い日はすぐに埋まるから、早めに式場は押さえておいた方がいいぜ。これ、人生の先輩からのアドバイスな」
その背後には、夫人と娘のキャシーの姿もあった。
「マクガレン大隊長も、ご家族で買い物ですか」
「あぁ、先の任務で特別手当が入ったから、『なにか買え!』って言われてよ」
マクガレンが家族の方をちらりと横目で見ながら、ヒソヒソ声で囁く。
騎士団では、どんな敵にも臆さず立ち向かう男の中の男。
鬼の大隊長と恐れられるマクガレンも、愛する妻と娘のおねだりには抗えないようだ。
「ったく、褒美が欲しいのは俺の方だぜ」
口ではそう悪態を吐きつつも、家族の楽しげな姿を見つめるマクガレンの眼差しは優しく、口元には隠しきれない笑みが浮かんでいる。
「大隊長もお幸せそうでなによりです」
「まぁ、な。んで? お前の方は?」
「うちは結婚指輪を買いに」
「あぁ、そうか。たしか式は来春だったよな。救国の英雄の結婚式だ。大がかりな式にするんだろ? 日取りの良い日はすぐに埋まるから、早めに式場は押さえておいた方がいいぜ。これ、人生の先輩からのアドバイスな」