おちたらきっと、
「そろそろ、歩楽って呼んでよ?」
恥ずかしくなっているのを、
確信しているかのように、
わざと、耳元で話す宇髄くん。
「っ、な、んで、...............?」
分かりそうで、分からなくって聞くと。
「だって、そろそろ、俺に堕ちたでしょ?」
そう言って、後ろから私の手を握る宇髄くん。
「っ、〝堕ちた〟だけじゃ、わかんない、」
分かりそうで、分からない答えを、
追求するように言葉を発すると。
「俺に、恋に堕ちたでしょ?」
宇髄くんの言葉に、
自然とコクリと、頷いている自分がいる。
私は、いつの間にか、
きっと...............堕ちてたんだと思う。
「っ、歩楽、くん」
そう呼べば、後ろからだけど、
ふわりと、ほっぺたに温もりが落とされた。
色んなところから、落ちて来たけど。
私の場合は、〝池〟に、
おちたらきっと、〝恋〟が始まったみたいっ‼︎
fin.