【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!
婚約者 カオル・ベニヤ
現在の時刻、十五時過ぎ。いつも行くカフェで、私ば彼゙を待っていた。
数分後、目の前に現れだ彼゙は「お待たせ、ミク」と微笑みながら、私の目の前に座り込む。
メニュー表を開き、手早くアイスコーヒーを注文した彼は、私に「ミクはもう注文したのか?」と問いかけてくる。
そんな彼に、私は「うん」と返事をし、深呼吸をする。
「で……どうした? 何か話があるんだろ?」
メニューから私の方へ眼差しを向ける彼に、私は「うん、そうなんだ」と返事をして、水滴が滴るグラスを手にグレープフルーツジュースを一口飲む。
「あのさ、カオル……」
婚約者の名前をそっと呼んだ私に、彼は「なんだよ?」と私を見つめてくる。
「あのさ、婚約破棄……したいんだけど」
「はっ……?」
水滴が滴るグラスから手を離した私は、カオルに再び「婚約破棄、したいの」と伝える。
「ミク……それ、冗談だよな?」
その言葉に私は、「こんなこと、冗談で言うと思う?」と、カオルに聞き返す。
「なんで……。なんでだよ、ミク?」
そんな戸惑いを見せる彼に、私は「私は……あなたと結婚に、どうしても前向きになれないの」と答える。
「前向きって……なんだよ、それ」
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