【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!
カオルはそんな私を抱き寄せると、「そっか。そりゃあ辛いよな」と慰めてくれる。
「え……?」
「お前の好きな人と毎日家で会うなんて、それはしんどいよな。お前の好きな人だし」
カオルの言葉を聞いた私は、思わず「べ、別にしんどくないしっ」と可愛げのない態度を取ってしまう。
「本当にしんどくないのか?」
そう聞かれると、やはりしんどい気持ちになるのは確かだ。
「……しんどいです」
「素直でよろしい」
頭をポンポンと撫でてくるカオルに、私は「ちょっと、髪、ぐちゃぐちゃになっちゃうよ……」と伝えるが、カオルは嬉しそうに微笑んでいる。
「ミクの気持ちを一番分かってるのは、俺しかいないだろ? 俺には弱音、吐いていいから。泣きたい時も受け止めてやるし、抱きしめてやるよ」
「……ん、ありがと」
「どういたしまして。 ま、俺はお前の婚約者様だからな」
ちょっと上から目線なのがまた絶妙にムカつくけど、それもカオルの良い所だとは思う。
「ちなみに、婚約破棄はまだイケるの?」
冗談でそう聞いたら「まさか。もう婚約破棄は受け付けないぞ」と笑顔でそう返された。
「なんだ、もう婚約破棄出来ないのか」
「当たり前だ」