【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!
「ただいま帰りました」
カオルと別れて家に帰ると、私はお母様にすぐ「あのね、お母様。話があるんだけど」とお母様に話した。
「ん?なに?」
「お姉ちゃんたちが、ここに住むんだよね? だから私、この家出て行こうと思うんだ」
母はびっくりしながらも、ひと呼吸置いてから「そう。あなた、カオルくんと住むことにしたのね?」と聞いてくる。
私は「うん」と返事をした。 母は嬉しそうに微笑むと「そう。良かったじゃない」と私を抱きしめてくれる。
「……お母様?」
母は私に「ミク、あなたも幸せになりなさいね」と優しく言葉を掛けてくれる。
「うん、ありがとう。……私、幸せになるよ」
お母様も私が姉の旦那さんのことが好きだなんて知らないし、知られたくない。
だからカオルと幸せになることが私にとって、どれだけ大きなことなのか、少しずつ実感している。
「お姉ちゃんも、喜んでくれるかな」
「喜んでくれるに決まってるでしょ?たった一人の妹なんだから」
「……うん」
私はその後すぐに、引っ越す準備を始めた。カオルの家でこれから生活することが、まだあまり実感出来ないのだけど。
きっとこれから、少しずつ実感していくんだと思う。