【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!


「カオル、起きて。朝だよ」

「ん……」

 朝七時、私は気持ちよさそうに寝ているカオルの身体を揺さぶって起こす。

「カオル、起きてって……わっ!?」

 カオルにいきなり引き寄せられて、抱きしめられる体制になる。

「ちょっと、カオル……!?」

 起きてるの?起きてないの? どっちなの?

「おはよう、ミク」

「やっぱり起きてるんじゃない」

 私の身体を抱きしめたまま、カオルが「違う。今起きたんだよ」と寝ぼけたような顔をする。

「朝ごはん出来てるよ」

「ん……食べる」

 眠たそうな顔をするカオルの背中を押して「ほら、顔洗ってきて」と寝室を出ていく。

「カオル、タオルバスケットの中にあるから」

「んー、分かった」

 カオルと結婚してから、もうすぐ一週間ほどが経つ。 宣言通り、カオルは毎日私への愛を囁く。

「普通に美味そう」

「はっ?普通にってなに?」

 普通にってなによ!一言余計じゃない!?

「ん?そんなこと言った?」

「言いましたけど?ちゃんと聞いたから」

 カオルは「気のせいだよ。 いただきます」とお箸を取り、お味噌汁を口にする。

「ん、うまい」

「本当?」

「うまいよ。優しい味がする」
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