【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!


 私は「それはありがとう」と口にし、お味噌汁を一言飲む。

「ミクは料理が上手いんだな」

「そんなことないと思うよ。普通だよ、普通」

 実家でもそれなりに料理はしていたから、特に出来ないということもない。

「ミクのお母さんも料理上手いもんな。それは上手くなるな」

「カオル、そんなに褒めなくてもいいから」

「だって事実だろ?」

 カオルが喜んでくれること自体は嬉しいし、やっぱりなんか夫婦って感じがする。

「あんまり料理で褒められたことないから、なんか新鮮かも」

「これからは毎日だって褒めてやるよ、俺が」

「はいはい。ありがとうね」

 冷たくあしらう私に、カオルは「褒めてほしいくせに、本当は」とニヤニヤと笑う。

「はっ!? そんなことないし!」

「俺には分かるよ、ミクのこと。ミクは褒めて伸びるタイプだろ?」

 慌てて「そんなことない」と否定しようと思ったが、ちょっとそう思ってる自分もいてなんか悔しくなった。

「俺はミクのこと大好きだから、たくさん褒めるあげるよ。ミクが喜んでくれるなら」

「そ、そんなことで……喜んだりしないもん」

 と言いたい所ではあるが、やはり否定出来ず悔しくなった。
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