【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!


 カオルは私のことを「愛してる」と言ってくれる。だけど私は、その「愛してる」の気持ちに応えていけるのか分からない。
 私はまだ……あの人のことを心のどこかで思っている。手も届かない存在なのは分かってるけど、初めてちゃんと好きになった相手だから、すぐに忘れることが出来ない。
 私って……最低かな。ずるいよね、こういうの。

「ミク……ミク?」

「え……?」

 カオルが私の顔をする不思議そうに見ている。

「どうした?」

「あ、ううん……なんでもない」

 ねぇ、カオル。カオルはなんでそんなに優しくしてくれるの?
 なんで……私のこと好きになってくれたの?

「俺、仕事行ってくるけど?」
 
「じゃあそこまで送るね」

「いいよ。ゆっくり食べてな」

 カオルは私の頭を優しくポンポンする。

「ねぇ、カオル……?」

「ん?」

「今日は、何時に帰ってくる?」

「そんなに遅くならないと思うから、六時半くらいには帰れると思う」

 私はお箸を置いて「そっか」と答えると、カオルは「なんだよ?俺がいなくて寂しいのか?」と冗談っぽく聞いてくる。

「はあ!? ち、違うから!」

「でもすっごい寂しそうな顔してるぞ?」
 
「し、してないって!」
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