【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!
夫婦になってから好きになるのは、アリですか?
✱ ✱ ✱



「カオル……緊張、してるの?」

 カオルと初めて身体を重ね合ったのは、結婚してから二週間後だった。
 カオルをずっと待たせていたけど、夫婦となって初めてベッドで二人身体を密着させている。

「まあ……ちょっとだけ」

「私も……緊張してる」

 カオルと夫婦になって初めて、カオルと共に過ごしていくのだと実感している。
 あの時、カオルは待つと言ってくれた。だけど私は、カオルに抱かれることを覚悟して受け入れた。

「……カオル」

 カオルの頬に優しく触れると、カオルは「ミク、なるべく優しくする。……痛かったら、言って」と頭を撫でる。

「うん……分かった」
  
 カオルと身体を重ねるという行為自体が初めてで、カオルに全てを委ねる。
 カオルはきっと、経験があるだろう。でも私は、本当の初めてだ。 とても緊張していて、心臓の音がうるさい。

「ミク……愛してる」

 カオルに「愛してる」と言われるだけで、私の心は疼く。

「……ずっと、こうしたかった」

「待たせて……ごめんね」

 さすがに二週間は待たせすぎたかなと思うけど、カオルは優しい声で「いや、大丈夫だ。……こうして触れられて、俺は嬉しいよ」と頬を撫でる。
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