【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!


「ミク、目を逸らさないで。……俺だけをちゃんと見て」
 
 逸らそうとする顔を、グッとカオルの方に振り向かせられてしまう。

「あの……カオル……」

 そんなに見つめられると、恥ずかしくなってしまう。
 そんなことを思っていても、カオルに触れられた部分が熱く熱を持っているのが分かる。ドキドキして、顔まで熱くなってしまう。

「ん……あっ……カオ、ル……」

 カオルと深く唇を重ね合うだけで、私の身体がカオルを受け入れようとしているのを感じている。
 熱くて熱くて、火照っていて。とてもじゃないけど自分が自分じゃなくなりそうなんだ。

「ミク、もっと呼んで……俺の名前」

 カオルから手を握られたその手を、私はぎゅっと握りしめ返す。

「カオル……」

 カオルの身体も熱く火照っていて、汗ばんでいるのが分かる。
 段々ゆっくりとカオルの手にほだされていくと、少しずつ私の身体には電気が流れたみたいになっていく。
 感じたことのない感覚が襲っていくことに、私は戸惑ってしまう。

 カオルは、こんなふうに私を抱くんだ……。と実感していくうちに、カオルは私を見つめる。

「カオル……」

「ミク……痛かったら、言って」

「ん……分かった」
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