【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!


「だっ……んんっ……?!」 

 カオルは私の唇を少し乱暴に奪うと、「これだから俺は、お前を手放せないんだよな」と嬉しそうに笑う。

「なっ……。い、いきなりキスするのは……反則だよ!」
 
 私は毎日、カオルに愛されているという実感しかない。 でもこんなに愛してもらっているのに、私は何一つ恩返しが出来ていないのが悔やまれる。
 何か恩返しくらいしないと、イケナイ気がしてしまう。

「ね、ねえ、カオル……」

「ん?」

「なんかさ、その……カオルが今欲しいものとか、ない?」

「欲しいもの?」

 カオルに何か、プレゼントがしたい。いつもの感謝の気持ちを込めて。

「欲しいものか……。急に言われると思い浮かばないものだな」

「なんでもいいよ。……なんでも、カオルの欲しいものをプレゼントしたいの」

 カオルはアップルジュースを飲みながら「欲しいものか……。なんだろうな?」と考え込んでいる。

「そんなに難しく考えなくていいんだよ?」

「いや、せっかくミクがそう言ってくれてるんだし、真剣に考えないと」

 そんなカオルの顔を見ていると、なんだか前の私を思い出す。

「なんか、昔の私みたい」

「ん?」

「ううん」
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