【完結】婚約破棄を望んだのに、なぜか愛で埋め尽くされそうです!


 産まれたばかりの赤ちゃんは、お姉ちゃんによく似ていた。とてもかわいくて、なんだか幸せな気持ちになった。

「お姉ちゃん、本当におめでとう」

「ありがとう、ミク」
 
「おめでとうございます」

「ありがとう、カオルくん」

 赤ちゃんが産まれてくるって、奇跡だ。



✱ ✱ ✱


 お姉ちゃんの元を離れて自宅に戻った私たちは、お茶を飲みながら「赤ちゃん、かわいかったね」と会話をしていた。

「ああ、かわいかったな」

 カオルは私の肩を抱き、嬉しそうに微笑む。

「カオルも……赤ちゃん、欲しくなった?」

 そう聞くと、カオルは「もちろん、子供は欲しい。……でも、今はまだ、ミクと二人で過ごしたいかな」と微笑みかける。

「……そうなの?」

「ああ、もちろんミクの子供は欲しい。 でも、今じゃなくていい。……子供はもう少し、先でいいんだ」

「カオル……ありがとう」

 カオルのこの優しさに、私はいつも救われている。 カオルという人がいるから、今の私がいる。

「ミク、愛してる。これからもずっと、愛してる」

 私の頬に触れたカオルのその手が、私の唇へと移動していく。
 そしてその唇に、カオルの唇がそっと触れる。

「ん……」
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